アレルギーとは
人間の体には、細菌やウイルス、寄生虫などの外敵から身を守る仕組みが備わっています。外敵が体内に侵入すると、リンパ球が活性化し、異物を攻撃する「抗体」が作られます。これが「免疫」です。この免疫が、花粉やダニ、ハウスダストなど本来害のない物質に過剰反応するのが「アレルギー」です。
アレルギーの症状には、くしゃみ、咳、鼻水、蕁麻疹などの皮膚トラブルがあり、さらにアナフィラキシーショックで呼吸困難を引き起こすこともあります。
アレルギー疾患には、以下のようなものがあります。
- 花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
- 通年性アレルギー性鼻炎
- 気管支喘息
- 食物アレルギー
- 金属アレルギー
- アトピー性皮膚炎
- アトピー咳嗽
- 蕁麻疹
- 蜂アレルギー
- 薬剤アレルギー
など
花粉症
花粉症は花粉がアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)となり症状を引き起こすもので、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれます。花粉が体内に入ると免疫機能が「IgE抗体」を作り、再度花粉が侵入するとIgE抗体が反応してマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出され、アレルギー症状が起こります。
主な症状は、鼻の粘膜に付着した花粉による鼻水、くしゃみ、鼻づまりです。目に付着するとアレルギー性結膜炎でかゆみが生じ、皮膚に付着すると花粉症皮膚炎でかゆみや発疹があらわれます。
花粉症による鼻づまりやかゆみで仕事や勉強に集中できず、睡眠障害を引き起こすこともあり、花粉シーズンには仕事で30〜40%、勉強で30〜45%もパフォーマンスが低下するという報告もあります。
原因となる花粉は様々で、飛散する季節も下記のように、それぞれ異なっています。
| スギ・ヒノキ | 2月下旬~4月中旬 |
|---|---|
| シラカンバ・イネ科の植物 | 4月下旬~6月中旬 |
| ブタクサ | 8月下旬~9月下旬 |
※地域や年によってズレが生じます。
花粉症の改善には、まず自分がどの花粉でアレルギー反応を起こすか知ることが重要です。その花粉の飛散シーズンには室内をこまめに掃除し、外出時にはマスクやゴーグルを着用します。帰宅時には服を外で払い、室内に花粉を持ち込まないことも大切です。当院では血液検査やパッチテストなど、アレルゲンを調べる検査を行っています。
薬による治療としては、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬を使用します。鼻の粘膜の炎症が強い場合は、鼻噴霧用ステロイド剤を使用する場合もあります。
気管支喘息
気管支喘息は、アレルギーが原因で気管・気管支に炎症が起こり、咳や喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音)、息苦しさが生じるものです。夜から明け方に発作が起きることも多く、睡眠障害も生じます。重い発作は命に関わることもあり注意が必要です。
炎症が慢性化すると気管支の粘膜が腫れて気道狭窄(内側が狭くなること)が起こり、少しの刺激でも過敏に反応し、さらに狭窄が進んで発作の頻度が高まり、症状が重くなります。
治療では、まずホコリやダニ、ペットの毛などのハウスダスト、タバコ、粉じん、アルコール、ストレスなどの刺激を遠ざけることが大切です。治療薬には発作時に用いるものと、長期管理薬があります。
発作時には気管支拡張薬を使用し、重症時はステロイド全身投与やアドレナリン皮下注射を行います。長期管理薬は主にロイコトリエン拮抗剤や吸入ステロイドを使用し、重症の患者さまには生物学的製剤なども検討します。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食品摂取時に免疫システムが過剰反応して引き効こされる疾患です。特に子どもに多いですが、大人にも発症します。代表的なアレルゲンは卵、牛乳、小麦、大豆、ピーナッツ、ナッツ類、魚、甲殻類などで、これらに含まれるたんぱく質が原因となります。
症状は摂取後数分から数時間以内にあらわれます。軽度では口の違和感、かゆみ、じんましんですが、重症では呼吸困難、血圧低下、意識障害を伴うアナフィラキシーに陥ることがあります。重篤な症状には速やかなアドレナリン筋肉注射やステロイド静脈注射が必要で、迅速な救急対応が求められます。
治療の基本は、原因食品を特定し摂取を避けることです。血液検査、皮膚試験、食物負荷試験などで診断します。アナフィラキシーのリスクがある場合はアドレナリン自己注射器(エピペン)の携帯が推奨されます。軽度の症状には抗ヒスタミン薬などが使用されます。
日常生活では食品の成分表示を確認し、外食時も調理食材や方法に注意が必要です。学校や保育園では関係者と情報共有し、安全な環境を整えることが大切です。「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」の作成は医師にご相談ください。家庭での調理でも、交差接触を避ける工夫が必要です。